2026.04.20 · 高橋 諒

AI駆動開発が変えた、私たちのワークフロー

#AI#Engineering#Workflow
AI駆動開発が変えた、私たちのワークフロー

生成AIを開発ワークフローに本格的に組み込んでから、約半年が経ちました。当初は『AIにどこまで任せるか』というスコープの議論ばかりでしたが、いまでは『AIに任せた前提で、人間は何に時間を使うか』へと問いの軸が変わっています。本稿では、私たちのチームに起きた変化を整理しておきたいと思います。

まず最も大きく変わったのは、設計フェーズの濃度です。コード自動生成のスループットが上がった結果、ボトルネックは『何をつくるか』の決断に移りました。曖昧な要件のままコードを書き始めることのリスクが、相対的に大きくなったのです。私たちは、要件定義の打ち合わせの後に必ず『この要件を生成AIに渡したらどう実装するか』のドラフトをつくり、それを叩き台に再度議論する、という工程を挟むようにしました。これだけで、設計の解像度が大きく上がります。

次に変わったのは、レビューの粒度です。AIが生成したコードは構文的には正しくても、ドメイン特有の制約や運用上の落とし穴を踏むことがあります。レビュアーは、コードの『書き方』ではなく『前提』を読むことに時間を使うようになりました。命名やロジックの細部はリンタとAIに任せ、人間は『この実装は半年後にどう壊れるか』を考える役割に集中しています。

組織面では、シニアとジュニアの境界が曖昧になりました。AIによる即時のフィードバックが、ジュニアのスキル習得を加速しています。一方で、シニアの価値は『判断の手数』へと移りました。プロダクトと事業の文脈を理解し、トレードオフを整理する力こそが、これからのシニアエンジニアに求められる能力だと感じています。

最後に、AI駆動開発はあくまで手段であって、目的ではないことを強調しておきたいと思います。私たちは、AIを使うことそのものではなく、『お客様のプロダクトを、より速く・より正しく届ける』ことを目指しています。そのための道具が変わっただけ、という冷静さは失わずにいたいものです。